ブランドのオーナーであるジュリアーノ・マッツォーリは、1946年、フィレンツェ郊外のトスカーナ・キアンティ地方に生まれた、ステイショナリーデザイナー。現在も同地で暮らしており、二人の息子とともにアトリエを構えている。
1970年代、父親が創業した印刷会社を引き継いだジュリアーノ・マッツォーリは、会社を文具メーカーへと発展させる。自立するボールペン「Moka」を発表し大ヒットを記録。そのモチーフとなったのは、イタリアを代表するデザインのひとつ、アルフォンソ・ビアレッティのエスプレッソメーカーであった。
前述のMokaをはじめとする彼のデザインは、身近なプロダクトから着想を得ているのが最大の特徴。2005年にはイタリア語で“油圧計”を意味する「マノメトロ」を引っさげ、華々しく時計界にもデビューした。ちなみにマノメトロ製作プロジェクトの過程で、彼は自分の先祖がトスカーナ・キアンティ地方の時計塔の技師であったことを知ったという。
マノメトロはその名のとおり、油圧計を見て浮かんだアイデアをもとにデザインされており、「まず見るべき時計」と賞賛される。シンプルかつ機能的で、なおかつメイド・イン・イタリーの個性に富んだマノメトロは、以後もバリエーションを増やしながら、世界的なファンを獲得。2007年には待望の2つの新作を発表し、あいからずの高度なデザインワークを見せつけてくれた。