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エキリーブルの掲載記事

エキリーブル MJコンテス「エキリーブル」(こころ+バランス=幸せ)
エキリーブルとは心と体のバランスを主眼に、WFP(国連世界食糧計画)の活動や子供の教育問題
そしてオリンピック誘致に至るまで現在身の回りにある課題をテーマに編集されるタウン誌です。
創刊よりSpice of life(人生の香辛料)のタイトルで連載しておりますのでご紹介させていただきます。

※画像をクリックして頂くと、エキリーブル発行会社
 「MJコンテス」さんのサイトをご覧頂けます。

「バウハウス」の思想とは
アラン・シルベスタイン クロノ・バウハウス「バウハウス」とは、1919年にドイツ・ワイマールで創設された美術学校と工芸学校を合併させた総合芸術学校の呼称ですが、同時に、この学校から始まった前衛的な芸術運動をも指します。
当時ドイツでは、第一次大戦の敗戦によりワイマール憲章が制定され、急激に民主主義体制への変革が起こった時期でした。芸術の世界でも、かつて芸術は特権階級のためのものと考えられていたのが、バウハウスはその主役は市民であると宣言することにより、芸術の解放を打ち出したのです。 しかし、この思想は当時ではあまりに革新的な考え方ゆえ、やがてはナチの国家主義により弾圧を受け、わずか14年で廃校に追い込まれることになるのです。皮肉にも、アドルフ・ヒトラー自身がかつては画家志望であったことは、少なからずドイツの前衛画家たちに弾圧を加える引き金になったと言えるでしょう。 その後、学校を追われた著名な建築家、芸術家たちは亡命し、その理念は国境を越え連綿と生き続け,現代においてもなお建築、デザイン界に多大な影響を与えているのです。

《バウハウスの思想》
この思想の根底には、「デザインと機能は本来一致すべきである」、つまり、余計な飾りを無くし、素材を生かしたシンプルで合理的かつ機能的なデザインが最も美しいのだといった理念があります。そして、この考えを実現するためには素材を生かす能力、言い換えれば、クラフトマンシップとの結合なくしてはなしえないのです。
現在においても、この考えは建築や家具(特に椅子にその特徴を顕著にみることができるのですが)、グラフィックデザインに至るまでさまざまな分野で実践されています。

《その実践としての時計作り》
皆さんは「アラン・シルベスタイン」と言う名の時計ブランドをご存知ですか。時計ファンにとってはあまりに有名なこのブランドも、その色使いとデザインの奇抜さで時として誤解されがちです。伝統的なスイス時計では考えられない、ユニークで独創的なこの時計にも実はバウハウスの理念がしっかりと実践されているのです。
かつてはインダストリアル・デザイナーとして活躍したアラン・シルベスタインにとっては、彼がデザインした時計を世に送ることは、伝統が支配する保守的で閉鎖的な時計界への大いなる挑戦でした。そして、彼のこだわりはデザインのみならず機械の隅々にも及び、そこに始めて美と手工芸が融合したアートが生まれるのだと言っています。 彼の時計作りの原点は「形態は機能に従う」とのスローガンが示すように、本来、時間を知る道具である時計はまず視認性の確保が第一義であり、そのためのデザインの工夫にありました。文字盤の中の時間、分、秒を即座に判断するためには、それぞれの機能を持った針の形状、色をはっきりと変えることでした。時計のケースサイドのリューズおよびプッシュボタンの形状、色も、1922年前後から25年頃までバウハウスを席巻した「四角=赤」「三角=黄色」「円=青」というデザイン理論の試行例です。
また、彼の時計の中でも最も人気のある「スマイルディ」機能は、本来、文字盤に示される週の表記が月曜日から日曜日まで固定された概念であったものを、ユーモラスな顔の表情で表すことにより所有者の休日にカスタマイズできるユニークで合理的な機能です。 彼は自らの時計作りの姿勢についてこう語っています。「私が理想とするのは、優れた機能とデザインが結実した時計。真に美しい椅子が座り心地がいいように美しい時計は使い勝手に優れ、腕に対して快適なはずです」と。